五十年にわたる宣教の歩みは、主を信じる人々の忠実な奉仕によって支えられ進展してきました。西日本福音ルーテル教会は、多くの土地・建物・特別事業をもち、運営するに至りました。戦争の痛手の中の貧しさから出発し、日本の経済成長、科学技術の発展とともに、教会はその形を整えてきました。私たちは、信仰の先輩たちが労苦して築いてきたさまざまなよきものの上に今、信仰の交わりとしての教会生活をしています。
しかし、私たちが受け継ぐ、もっとも大切なものは、目に見える財産ではなく、西日本教会が出発をした原点です。私たちの信仰は「西日本福音ルーテル教会(地方教会)憲法」の「教理的立証」において「聖書のみ・信仰のみ・恵みのみ」として明らかに宣言されています。
この憲法は、1960年「憲法委員」が選出され準備されました。憲法作成にあたっての基本的精神は次のとおりです。
・・・第1は、教職者の方、一般信徒の方を通じて、伝道会1伝道師1信徒という考えがありまして、教会は「二、三人私の名によって集まる所に私もいる」とおっしゃった一般信徒を基礎にした考え方が殆ど理解されていないという事です。それは、私達の教会形成の歴史からみると当然の事であり、それでよかったわけですが、これから形成してゆく教会は前のような考えはとり去ってゆかねばならないという事です。伝道会の代りに教区がどんとあぐらをかいて、地方教会を支配し、地方教会では牧師が先生にたてまつられているというのでなく、万人祭司制により、すべての信徒が恵みの賜物に応じて交わりと証しの生活に活躍してゆく。その中で管理の賜物、牧会の賜物をもった者が、長老や牧師に選ばれ、訓練され、教会の僕として奉仕してゆくのです。又地方教会は、相互の交わりと、委任された行政及び、個々の教会ではできない学校の経営とか特殊伝道を協力して行うために教区を形成してゆき、常に正しく神の言に立った伝道教会として発展してゆくのです。
いちばん上に教区があって、それから牧師、それから地方教区、それから信徒という考えから、主にある聖徒の交わりを第一に考え、各自が恵みの賜物に応じて働き、その賜物の中に、長老も牧師も伝道者も含まれているという考えを保持する必要があると思います。そして地方憲法、教区憲法はこの精神によって貫かれているのです。
「常に正しく神の言に立った伝道教会として発展してゆく」教会として、21世紀に向かいたいものです。